村木厚子さん(元厚労省事務次官)のキャリア観が素敵。子育てと仕事の両立のロールモデル!

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元厚生労働省事務次官の村木厚子さん。

局長時代には検察による証拠捏造による冤罪で逮捕されるという事件でも有名になった方です。

その後、疑いが晴れ復帰された後もご活躍され、厚労省のトップ事務次官をお勤めの後退官。

今は多数の企業や団体の社外取締役や監査役として活躍されています。

官僚時代から周囲からの評判が非常に良く、事件時も多くの方が村木さんを信頼して応援したそうです。

そんな村木さんは二人の娘さんをもつワーキングマザーとして長年キャリアを築かれてきました。

村木さんが将来キャリアと子育ての両立ができるのか悩む女子大生からのインタビューで語っている考え方がとても素敵です。

是非全文読んでいただきたいですが、特に素敵だと感じたところを抜粋します。

考えすぎない。産める時に産むのもあり。

仕事をしながらの出産、育児のライフプランをどれくらい考えておいた方がよいかという女子大生の質問に対して、村木さんは以下のように答えています。

私はいつも後輩にあまり考えないでいいよと言います。私は幼い頃からかなりの対人恐怖症だったのですが、仕事を続けていくうちに、「営業上手ですよね」「人脈広いですよね」「説明上手ですよね」と言われるようにまで進歩出来ました。

10代〜20代ならまだ自分の知らない自分はたくさんいます。例えば、自分の入る会社もどんなに詳しく調べても全てが分かるわけじゃない。だから最後はえいやっ!と決断しないと就職先は選べないし、ましてや結婚と出産はもっと分からないですよね。いつ相手に巡り会うか分からないし、出産は思い通りにいかない人も多い。だから考えておかなければいけないことはせいぜい、自分が何に興味があって、何がやってみたいかくらい。

もう一つは、年を取ると出産しにくくなるということ。結婚に適齢期は無いけれど、出産は明らかに適齢期があります。でも、私は子どもをもって後悔している人を見たことがないので、そういう意味でいえば子どもをもちたいと思ったら産めるときに産むのも一つの道だと思います

「えいや!」と決断しなきゃいけない時があるのって、本当そうだと思うんですよね。

どれだけあらかじめ考えていても、心配していても、その通りにはならない。

それでも起こったことに対して、何かしら決断をしなきゃいけないことがあるのだから、

その基準として「何に興味があって、何をしたいのか」くらいを考えておけばよい。

というのはすごくもっともです。

一方で、女性が子供を産むということに「適齢期」がある。だから「産める時に産むというのも一つの道」と、年齢と適齢期にも触れられているのはとても現実的な回答だと思います。

年齢と出産の話って、どこかタブー感があって、正面から語れる人が少ない気がするんですよね。言い方を間違えると差別的になりそうだし。

でも実際に物理的な限界はやはりあるわけで、村木さんのようなキャリア女性がそのことについて正面から語ることって、とても意味があると思うんですよね。

女性も耳を傾けやすいと思うんです。

産休・育休の仕事のブランクも10年経てば関係なし

さらに、産休・育休で仕事にブランクが空くことについてはご自身の経験を元に、こんな風に述べられています。

10年くらい経ってみると、誰がいつ出産をしたかなんてほとんどみんな覚えていないし、何か言われたとしても仕事をしっかりやっていれば、それがどうした? となってしまう。

そういうブランクは忘れられていって、今どのくらい実力があって、どういう仕事ができているかということに目が向くようになる。そしてその上で家族を持っていて幸せで育児も楽しんでいるね、というプラスの情報だけが残る。

私はこのような10年くらいのタームの変化をみてきて、「ああ何だ、その時は多少色んなことを言われることはあるかもしれないけれど、職業生活30〜40年の中で、子どもをもつということはすごくハッピーなことだし、かつみんな取り戻せちゃっているなあ」と思いました。

(中略)

確かに3年目で一年休んだら4年目の人とどれだけ差がつくのだろうとその時は怖くなりますよね。けれどその時も、私はワンランク下の二軍選手なのだと諦めるのではなく、今はたまたま遅れているけれどすぐに追いつけると思ってまた普通に歩き出すと、最後には何の差も残らないと思います。29年目になったら、30年との差は、そんなに怖くないでしょう。

これもすごく納得感のある話だと思うんですよね。

女性はもちろん、男性も育休をとる上では「仕事にブランクが出ること」、そして「周囲にそのことについてどう思われるか」を非常に気にします。

でも時間が経てばそんなことみんな忘れてしまって、むしろプラスにとってもらえることが増える。

そして、「子供を持つことはすごくハッピーだし、みんなとりかえせる」というのは、産休・育休をとる男女にとってすごく勇気付けられる言葉だと思います。

「子供をもつことを後悔している人をみたことがないということに驚いた」という編集者に対しても以下のように述べられています。

確かにお母さんは大変だという情報が多いですよね。ですが、子どもが手を握ったと喜び、右を向いたと喜んで、子育ては本当に楽しいのですよ。

(中略)

子どもがいることによって自分ではやらないことを体験できることがたくさんあります。子どもと一緒に出掛けるにしろ何にしろ、なにかを一緒にするということはとても楽しいし、子どもは自分の人生を豊かに彩ってくれる存在だと思っています。

ワーキングマザーであることの子供への影響について

娘さんがワーキングマザーの村木さんのことをどう思っていたか問われて、こうお答えです。

この間改めてその質問をしてみたら、「うーん、お母さん楽しそうに仕事していたよね。だから社会に出ることをポジティブに考えられて、仕事って面白いのかもしれないと思えた。社会と仕事に対してプラスのイメージが持てた。」と言ってくれました。

日本のお母さんはとても真面目だから、子どもたちとの時間を犠牲にして仕事をするということに罪悪感を覚えて、仕事を楽しんでいることを抑制して言わない方も多いと思います。しかし娘はそのように働く私を受けとめてくれていたんだな、面白いなと思いました。

村木さんのお子さんは、村木さんの働く姿を見て、「社会と仕事にプラスのイメージが持てた」と言っています。

この話を読んで、先日書いた「働く母の罪悪感」の記事を思い出しました。

(アメリカですら)働く母は罪悪感を感じがちですが、実は働く母をもつことは子供にとってポジティブな影響を与えるという話でした。

まさに村木さんとお子さんの関係は「働くお母さん」の様子を見た子供が、働くことに対して前向きに捉えることができた良い例だと思います。

素晴らしいです。

村木厚子の一番すごいところ

さて、私が村木さんに対して一番すごいなと思うのは、村木さんの「雰囲気」です。

男性社会の中で出世していく女性ってどこか「特別な人」のオーラを出している人が多いように思うのですが、

村木さんは事務次官という超エリートまで登り詰めているのに、なんだか「普通の人」という感じがしませんでしょうか?

wikiでは

事務処理能力や、頭の良さ、法への強さなどが特に目立つような存在ではなく、誰もが認める次官候補や、エースと呼ばれるタイプではなかったが、障害者問題を自身のライフワークと述べ、人事異動で担当を離れた後も福祉団体への視察を続けるといった仕事に臨むまじめな姿勢や、低姿勢で物腰柔らかく、誰も怒らせることなく物事を調整することができる、敵を作らない典型的な調整型官僚として有能であることが評価されていた

というように「特別目立つ存在ではなかった」という記載すらあります。

もちろん才能もあり、常人ではないくらいの努力をされたのは間違いないのですが、

村木さんの雰囲気や評価からは、

「特別な人」が「特別なやり方」で出世したのではなく「普通の人」が「普通に真面目に努力していった」結果評価されていったというような「安心感」を覚えるんですよね。

(東大が多い官僚幹部の世界で、珍しく地方国立大学(高知大)出身というのもなんだか親近感がわきます。プロフィールはwiki参照ください。)

だから女性たちはロールモデルとして村木さんを支持するのではないでしょうか。

そして、画面越しにもその人柄が伝わってくるくらい「いい人」な人柄が滲み出ています。

きっと村木さんご自身が「幸せな人」なのだと思います。

私は以前書いたように「仕事ができる人」よりも「幸せな人」が上司になるべきだと思っています。

村木さんのようなバリキャリのワーキングマザーが「幸せでいる」ことが、

後進に続く後輩ママたちの働き続けるモチベーションを高めてくれるはずです。

これからもこういった方が増えていって欲しいです。