東京で聞く播州弁の新鮮な響き(明石泉市長の暴言)

時事問題/その他

 

「楽な商売じゃお前ら。あほちゃうか」、「立ち退きさせてこい、お前らで。きょう火付けてこい」

兵庫県の明石市の泉市長が職員に対して放ったとされる言葉。

確かに現役の市長が言ったとは思えない言葉で、特に文字にすると響きが怖いですね。

関西出身者としては、「大阪の関西弁」とはまた異なる兵庫県の「播州弁」(播磨の国の言葉)に思わず反応してしまいました。馴染みのある方言ですが、東京で聞くとなんだか新鮮です。

最初ネットニュースで文字だけ見たときには、確かにひどいなぁと感じました。

ところが、その後テレビで録音された音声を前後の会話と背景を踏まえて聞くと、一概に泉さんを悪者にすべきではないような気がしてきました。

すでに報じられている通り、

  • 2010年頃から交通事故の多い道路の拡張工事のためにビルの立ち退きを進めるプロジェクトが立ち上がる
  • 2011年頃から立ち退き交渉に入っていたはずが一向に進まず
  • 2017年頃(録音された音声の時期)に泉市長が担当者に確認すると「価格交渉していない」とわかる
    ⇨7年間も何やっとったんや!!楽な商売やな!! と激昂。その流れで火をつけろ発言(それくらいしてでも立ち退かせろという意味と思われる)

てな感じです。

確かに、激昂したとはいえ市長が職員に「火つけろ」は言っちゃダメですよね。

明石市はこちらの公表資料によると職員約2,000人の企業でいえば大企業です。

民間の同じ規模の会社で、社長が同じことをやったらコンプライアンスに完全に違反。

即刻退場だと思います。

ただテレビで前後の発言に出てくる「(価格提示すら出来てないことについて)全然できてないじゃないですか!7年間も何やってたの!?」、「楽な商売やな!!」という発言。

これここだけ聞けば「うん確かに」って思うんですよね。

 

だって立ち退きのプロジェクトを立ち上げて7年も経つのに「価格提示もしてない」って、そらひどいですよね。

これも逆に民間企業だったらその担当者と上司は「火をつけろ」とは言われないだろうけど、「何やってたんだ!!」とは当然言われますよね。

暴言を受けた職員の方もマスコミの取材には「言葉に問題はあるかもしれないが、市長の言っていることは正しい」と言っているとの報道もありました。

おお、7年放置していたとは思えない発言。もしかしてこの担当の人も異動で最近来た人だったりしないのでしょうか。

大体この手の役所って数年おきに担当者変わりますよね。多分。

異動してきてビルの立ち退き引き継ぎされて、てっきり価格交渉くらいしていると思ってたら、前任者(のさらに前任者くらいかも)は何もやっていなくて、たまたまそのタイミングで市長の目に触れた。。。みたいな。(完全に勝手な想像ですので、今後の報道で変化あったら追記します)

その後、追記に書いた一部始終を読むと、やはり7年間で3人目の担当者だったようですね。それどどこか他人事の様相もあるのかと思います。

まあともかく、「7年間も何やってたの?楽な商売やな!」というのは、うちの関西の実家あたりのおっちゃん、おばちゃんはそう思うだろうなぁ、なんて感じた次第です。

それにしても播州弁は東京に来てから聞くと(大阪の)関西弁にも増して、荒々しく聞こえますね。
まだ関西出身で馴染みがあるから理解できるものの、生粋の関東人(関西人は関東の人をそう呼ぶ)からしたら、あの映像は心底野蛮に映るんでしょうね。

「あほちゃうか!」は関西ではそんなに激しい言葉ではないですけどね(今回の文脈は激しいですけど)

むしろ冷静に「7年間も一体あなた方は何をされていたんですか?職務遂行能力が著しく乏しいと考えます。給料に見合う働きをされているとは思えません」とか言われた方が、それはそれで怖い気がしますね。

時代はこっちが正なんでしょうけど、関西のしかも田舎で言ったら「冷血漢!」とか言われそうです。

平成も終わろうとしている時代の市長の発言としてはアウトでしょうけど、まあまだギリギリ平成も終わってないので2ヶ月後の選挙でまずは結果を待つことになるのかと思います。

追記

神戸新聞に一部始終の文字起こしがあり、これを読んで各方面の方が「最後まで読めば真意がわかる」、「むしろ市民にとっては素晴らしい市長」という意見を寄せています。

特に最後の以下の言葉には多くの賛成が寄せられています。

とにかく今月中に頭下げて説得して判付いてもうてください。あと1軒だけです。ここは人が死にました。角で女性が死んで、それがきっかけでこの事業は進んでいます。そんな中でぜひご協力いただきたい、と。ほんまに何のためにやっとる工事や、安全対策でしょ。あっこの角で人が巻き込まれて死んだわけでしょ。だから拡幅するんでしょ。(担当者)2人が行って難しければ、私が行きますけど。私が行って土下座でもしますわ。市民の安全のためやろ、腹立ってんのわ。何を仕事してんねん。しんどい仕事やから尊い、相手がややこしいから美しいんですよ。後回しにしてどないすんねん、一番しんどい仕事からせえよ。市民の安全のためやないか。言いたいのはそれや。そのためにしんどい仕事するんや、役所は

神戸新聞NEXTより

 

たしかにその前の燃やしてしまえというのはひどいけど、ここまで読むとむしろすごい市民を思っているし、仕事に真摯な市長という感じがします。

むしろこの報道で人気が高まるような気さえします。

やまもといちろうさんも、こちらの記事で「明石で再選出来なかったら東京にきてください」とまでおっしゃってます。

是非、次の選挙で市民が賢明な判断を下すことを願ってやみません。