一億総ハラスメント社会〜はあちゅうのハラスメント報告への批判とイケダハヤト〜

時事問題/その他

元電通ウーマンで、ずいぶん前からネット上ではそれなりに有名人のはあちゅうさんが、電通時代の先輩社員であったクリエイター氏のパワハラ、セクハラを告白して話題になっています。

これは米国のハリウッド女優たちがセクハラ被害を告発しだしたMeToo運動の流れで、そこに至っているわけでして、これ自体はわたしはすごくいいことだと思っております。

しかししかし、はあちゅうさんに対して「この程度のことをハラスメントと呼ぶな」とか「セクハラを使った売名行為だ」というような批判も寄せられているようです。

さらにそれに対して「ハラスメントをされた被害者を非難するのはおかしい」という論の意見もぶつかってなかなかな感じになっています。

わたしも当初は「ハラスメントされた人を非難するのはお門違い」という感想だったのですが、

一部に「はあちゅうもハラスメントしているじゃん」という理由の批判意見があるようです。

これに対してこちらの記事でライターのおじさん、赤木さんが提言しているのをみて、ああなるほどと思ったところがあります。

赤木さんは、

口さがない人たちの中には「はあちゅうは、セクハラ被害をセルフブランディングに利用したのではないか」と批判する者もいるが、それでも彼女がセクハラ被害を受けたという問題が軽くなるわけでもないのだから、ブランディング自体は批判する理由には当たらない。

として、売名行為やセルフブランディングに本件を使っていたとしても、それによりセクハラ被害を受けたという問題が軽くなるわけではない。よって、はあちゅうさんをその点から批判するのは違うというしています。

しかし一方で、「はあちゅうもハラスメントをしている」という意見があることに対しては以下のように書いています。(サマリするので読み飛ばしても大丈夫です)

しかしながら、今回、僕が気にせざるを得なかったのは、彼女が他ならぬ、こうしたセクハラやパワハラの類を仕事にしていたことである。

彼女の非モテや童貞に対するコラムは常に上から目線で高圧的なものであり、女性である自分のジャッジメントが必ず正しいものであるという前提のもとに書かれていた。いわば勝ち組女性としての自身を誇り、いかに非モテや童貞がダメな男であるか、それを教えてあげるのだという、膨れ上がった自尊心のオーラを隠そうともせずに身にまとった女性だという印象がある。

逆に言えばそうした強いオーラに惹きつけられる女性や、またそうした強い女性を好ましいと思う男性も多く、作家としては人気があった。

もし彼女が無名の女性で、単に彼女と仲間内で非モテや童貞をジャッジするだけなら自由にしてくれて構わない。しかし彼女の仕事は雑誌やWebに掲載される。そしてそれを見た人たちが非モテや童貞を笑っていいものとして扱う。こうしてより非モテや童貞はバカにされるようになる。

彼女の論旨をみると、いわば彼女が嫌うような人物を全て非モテや童貞とレッテルを貼り、その上で上から目線で批評をしているような物が多い。今回の件について、はあちゅうを擁護していた人が「岸氏は電通に入らなければ非モテだったに違いない」と、電通マンでトップクリエイターの一人というモテ属性しかない、明らかに強い立場の岸氏を非モテに結びつけていた。セクハラのような権力問題すら、こうして全く関係のない「非モテのせい」であるかのように言えてしまう感覚が、彼女やそのファンの間には存在するのである。

もちろん、モテない人を笑うというのは、彼女が生み出したことではない。恋愛結婚が多くなってから、ずっと言われていたことだ。しかしそれを表立って主張し、それを仕事として収入を得るということは、単なる嘲笑以上の意味を持つ。

今回、セクハラの告白に対して「でもお前だってハラスメントしてんじゃん」という批判が巻き起こったことは、そうした仕事による成果物に対する責任を十分に自覚してこなかった彼女の落ち度に他ならないだろう。

中略

今回の構図をみるに、岸氏がはあちゅう氏にパワハラを行い、はあちゅう氏は非モテや童貞にハラスメントを行っていた。はあちゅう氏の非モテや童貞への強いマウンティングは、もしかしたら岸氏にハラスメントを受けていた経験から醸成された自意識なのかもしれない。

しかしながら、そのことは他者へのハラスメントの理由にはならない。そうではなく、ハラスメントを受けたら、受けた人がそれをちゃんと、ハラスメントを行った人に真っ当に対抗できる社会でありたい。本来「#MeToo」の運動が目指すものはそこではないかと、僕は思う。

ようするに、

  • はあちゅうさんの日頃の言動や執筆内容は「非モテ」や「童貞」をディスったり、上から目線で嘲笑の対象にしてきた(ように見える)。
  • はあちゅうさんのそのような行動を「ハラスメント」と感じる人がおり、その人たちが今回のはあちゅうさんの行動に対して「お前もハラスメントしてるじゃん」という批判している
  • はあちゅうさんが行ったハラスメントはもしかしたら、過去にはあちゅうさんが受けたハラスメントに原因があるのかもしれないが、それは他人へハラスメントしてよいという理由にならない。
  • はあちゅうさんにハラスメント被害を訴える権利があるように、はあちゅうさんにハラスメント被害を受けたという人たちにも訴える権利があるのである。

というようなことを言っているのだと思います。

これを読んで、ああなるほどなぁ、と思ったんです。

ネットで一定属性の人をディスるのって「ハラスメント」だったのか、と。

わたし、はあちゅうさんのことは名前と芸風はなんとなくわかるんですけど、あまり中身まで詳しくはみていなくて、赤木さんの記事を読むまで「非モテ」「童貞」批判をイジっている人とは知りませんでした。

なので、真偽はよくわかりません。

ただ同じようにネットで有名な人にイケダハヤトさんがいるんですけど、

この人まさにハラスメントしているんじゃないかなって思ったんです。

イケダハヤトさんて、早稲田出て大企業に勤めたけど、全く合わなくて短期間で退社。ブロガーとして大成功している人物です。

最近は仮想通貨に熱心に取り組まれて、Bitcoinの上昇もあってもはや金には困らないのでしょうけど、昔から「東京のサラリーマンの生活は最低」というニュアンスの発言が多いのが気になっていました。

すごくわかりやすいのは「まだ東京で消耗してるの?」というワードで、自身はブログでたべれるので高知県に移住して、通勤電車も乗らなくて良くて、空気も綺麗で、食べ物も美味しくて、最高です。東京で働いている人はアホですね。

という感じの記事をたくさん書いていたんですよ。

そもそもあんたが暮らす高知県だって東京の人たちが一生懸命働いた税金で補助受けているし、

あんたがおすすめしている仮想通貨買っているのだってサラリーマンの人たくさんいるよ。

ということからも、けっこうムカついたりしていたわけです。

それで今回赤木さんがはあちゅうさんのこれまでの行動をハラスメントと呼ぶように、イケダハヤトさんの行動もハラスメントだったんだろうなと思います。

そして、はあちゅうさんが過去にハラスメントを受けたように、

イケダハヤトさんも大企業時代に単に企業にfitしなかっただけかもしれませんが、本人としてはハラスメントもしくはそれに準ずるような行為を受けていると感じる、環境だったんだろうなと想像します。

その怨念のような思いが、彼の東京のサラリーマンへのディスりに繋がっているのでしょう。

今回の話って、すごく簡単にいうと、

  • 電通などの大企業に馴染めなかったり、怨念を持っている人たちが「おれ、わたしをいじっていた奴はクソ」ということを言いまくっていた。
  • たまたま同じクラスタの人たちから支持されていつの間にやら強大な力を手に入れた。
  • その力をつかって、かつての怨念を晴らそうと活動していたら、実は自分もいろんな人に怨念をばら撒いていた

というような話かなと思いました。

もちろん、企業によるハラスメントを容認してはいけないと思っていますし、MeToo運動も、今回のはあちゅうさんの告発はとても良いことだと思っています。

しかし、ハラスメントを受けた人が、そのハラスメントからのトラウマなり反動なりで、他の人にハラスメントに準ずる行為をしていたとしたら、それはやはり非難されるべきなんでしょうね。

イケダハヤトさんや、はあちゅうさんが行っていることがハラスメントだとしたら、ネットはハラスメントだらけ。

日本は一億総ハラスメント社会ですね。