吊り広告とかで見かける話題書「お金2.0」を読みました。
著者は東証マザーズ上場企業「メタップス」の創業社長の佐藤航陽氏です。
メタップスってどんな会社?
そもそもメタップスってどんな会社なのか。
本書の中では
- 「ビッグデータの解析や活用を軸にした企業マーケティング支援事業」(マーケティング)
- 「オンライン上でお金のやりとりを仲介する決済事業」(ファイナンス)
- 「一般消費者にサービスを提供する事業(=タイムバンクなど)」(コンシューマ)
の3つを展開していると述べています。
こちらのホームページにはそれぞれどのようなサービスを展開しているのか紹介されています。
ビジョンのページには、「テクノロジーでお金と経済のあり方を変える」とあり、まさにお金2.0のテーマと直結するビジョンですね。
著者の佐藤航陽さんはどんな人?
著者の佐藤航陽さんは早稲田大学1年生の時に起業しそのまま大学を中退。経営する会社メタップスを2015年に東証マザーズに上場させた実力者です。
現在も経営の第一線で活躍し続けています。
本書の中で経緯が簡単に触れられていますが、こちらの記事にもざっくりどんな経緯で起業したのか載っています。
本書の中で著者は、「仮説を立てて自ら事業を通じて検証し、それをくり返すことで理論を磨いてきた」と述べます。
一方で「実務の中で再現できないことは本当に理解したとは言えない」とも述べており、学者タイプではなく、事業家である面をしっかりと出しています。
「未来が見える人」には世の中がどう見えているのか
本書で語られているのは、けしてお金の話だけではありません。副題の「新しい経済のルールと生き方」の方がむしろ中心な気がします。
もっと端的に言うなら、「佐藤氏の世の中の見え方」、「佐藤氏に見える未来」を勉強できる一冊だと思います。
著者佐藤氏は世の中のレベルの異なるあらゆる物事を結びつけて、同列に比較することができる特殊な能力を持っており、それにより未来が「見えている人」だと感じました。
本書の中では、会社もBitcoinも大学のサークルも全てが「経済システム」と見ることができると述べます。
そしてうまくいく経済システムには共通点があることを述べていくのですが、だんだんとお金にまつわる話だけでなく、著者の「世の中の見方、見え方」そのものが際立っていきます。
経済と脳と自然、全ては似た仕組み?
うまく回っている経済システムには共通する要素があると述べる著者ですが、その仕組みは人間の脳、さらには我々を取り巻く自然にも通じるといいます。
脳の仕組み、自然の仕組みとうまくいく経済システムの仕組みが似ている。そのような仕組みだからこそ、「資本主義」はここまで普及したのであると説明する筆者。
このように著者は異なったレベルの事象を同列に並べ、ひも付けて見ることができる「見えている人」なのです。
本書の中に、レオナルドダヴィンチがあらゆる分野をひとつの世界として見えていたという話があるのですが、著者の佐藤氏も同じように「あらゆる分野がひとつの世界として見えている人」なのではないでしょうか。
出発は「お金」でしたが、話はそこに止まりません。
あらゆる事象をつなげ、未来を見通す
この「あらゆる分野をひとつにつなげることができる」という著者の視点は、シェアリングエコノミー、トークンエコノミー、評価経済など異なる事象をひも付けて、「分散化」と「自立化」という2つの流れがあることをときます。
そしてその流れが今後どのような未来を作っていくのかを述べていきます。
後半はSFのような世界観が展開されていきますが、「見える人」である著者にはすでにそのような未来が見えているのかもしれません。
この本は、こういった見えている人たちの目を通じた「世の中の見方」を勉強する本だと捉えるとよいと思います。
本書の中で今後大切になる思考体系として
「経済、自然、脳のように、複数の個が相互作用して構成する現象は創発と呼ばれます。今後はこのような構造を使いこなす「創発的思考」とも言える思考体系が必要になってくると考えます」
と述べてますが、なんかNRIの「未来創発」というキャッチコピーを思い起こしました。
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