子供ができる良い教育環境を整えてあげたいというのが親心ですよね。
幼少期からの「早期教育」、「幼児教育」で天才児に!なんてついつい親としては考えてしまいます。
幼児教育のなかでも人気が高いのが「英語」ではないかと思います。
小さなころからの英語教育は重要なのでしょうか?
目次
幼少期に必要な教育とは何か
林修が
この話題について面白い出来事がありました。
タレントの紗栄子さんが2年ぶりにテレビに出られて、
ご自身の息子さんたちの育児、教育について語ったところ、
林先生がダメだししたという話です。
紗栄子さんの息子さん2人は、幼少期から英語教育を受け、
この度イギリスの名門校に留学することになったようです。
それだけ聞くと十分に成功だと思うのですが、林先生の意見は違いました。
林先生曰く、
「英語はアプリと一緒であり、簡単にインストールできる。それよりもアプリを動かすスペックをあげておくことが重要。」だと語りました。
「英語はアプリでそれよりもスペックが大事」とはどういう意味でしょうか。
スペックとは、PCやスマホで考えるとハードウェアの性能のことをいいます。
CPUやメモリ、ハードディスクなんかの「モノ」の性能のことです。
つまり人間でいえば、「処理能力」にあたるものです。
では「処理能力」をあげればよいのでしょうか。
それだけではないと思います。
ハードだけではなく、ソフトのスペックも大事
林先生のいうスペックって、ハードだけじゃなくて、ソフト面も含めている話な気がします。
具体的にはハードとソフトを動かすためのOSが大事という話だと理解しました。
OS(オペレーティングシステム)は
PCであれば「Windows10」とかスマホであれば「AndroindバージョンXX」のように
コンピューターを動かすメインとなるソフトです。
ざっくりいうと、アプリとハードウェアをつなぐソフトとも言えます。
例えば、
「このデータは一旦メモリのこの部分に記憶しておくと使いやすいから置いておこう」
とか、
「いまメモリがいっぱいだから処理するのちょっと待ってね」
とか
ハードウェアをコントロールしつつ、アプリが正常に効率よく動くようにするソフトです。
これを人間に例えると、(1)英語=アプリ、(2)脳とか記憶力=ハード、(3)使い方、覚え方の知恵=OSだと思うんです。
英単語を単純にガリガリ覚えるというのはアプリを一生懸命インストールすることなんだけど、英単語を「どう覚えたら効率が良いか」、「覚えた単語はどう使えば役に立つか」ということを考えるのがOS=知恵だと思うんです。
この知恵があれば、英語だけではなくて、算数だって、国語だって、それこそ勉強以外の運動や趣味にだって活かせるはずです。
そして、当然それを受け入れるハード(脳、体)のスペックも大事です。
幼児教育は何すればいいの?(シカゴ大学の研究より)
じゃあそのハードとOSのスペックってどうやってあげんねん?
ということが大事だと思います。それはやはり幼児教育が大事なんじゃないでしょうか。
林先生も「英語教育」は否定しましたが、「幼児教育」の重要性については認めています。曰く、0歳〜10歳のときにお金と時間をかけて教育せよ!とのこと。
番組ではシカゴ大学の幼児教育の研究をもとに話をしたとのこと。
これってどんな研究なのか。それを見れば必要な幼児教育が見えてくるかもしれないと思って調べました。
シカゴ大学の研究ですが、シカゴ大学の経済学者でノーベル賞受賞者のJames Heckman(ジェームズ・ヘックマン)氏の研究のことを指していると思われます。偉い人なので、色々と書いているみたいなんですが、今回の研究に関係するのは、
おそらくこのあたりだと思います。
The Rate of Return to the High/Scope Perry Preschool Program
ぎゃー 英語がー Σ(×□×ノ)ノ0
という感じなので、すごくざっくりいうと、
- 1960年代にペリープレスクールプログラムという社会実験をアメリカでやりました。
- 貧しくて十分な教育が受けられない子供たちに、家庭訪問して教育するグループと、何もしないグループを作りました。
- その後その子たちが大人になったときに追跡調査をすると、教育を受けたグループの子たちは社会的に成功している割合が高かったのです!
- だから、幼児期に教育投資をすることはとっても意味のあることなんです。それはどれくらい効率的かというと。。。うんぬん。
ということを書いています。
ヘックマン教授の著書は日本語でもあります。
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幼児教育に社会投資することは非常に意味があるよ!という話です。それはとても大事なので、是非国にはそういう方向でやってもらいたいんですが、
じゃあ個々人の親は何ができるの?英語教育じゃダメなの?幼児期から勉強させたらIQ高くて賢い子供になるんじゃないの?と
ということが気になると思います。
幼児教育で大事なこと(ペリープレスクールでやったこと)
で、このペリープレスクールプログラムの効果は短期的には「IQの向上」をもたらしたのですが、その効果は長期に渡るものではなかったようです。
それよりも大事だったのが、子供達の「非認知能力」が伸びていたことでした。
「非認知能力」というのは、粘り強いとか、がまん強いとか、そういう知識では測れない能力のことです。ヘックマン先生はこの能力の伸びこそが子供達を将来的に成功者へと導く確率を高めていると言っているようです。
で、このペリープレスクールプログラムで実施された教育ってどんなもんなの?ってのが気になったのでこれも調べてみたんですが、
「ハイスコープ教育」というものらしいです。詳しくはこちらに書いてありますが、ざっくりいうと、「子どもの積極性を引き出す教育」、「子ども自らに計画、実践、振り返りをさせる(plan-do-review)」ということに重きを置いている教育方法のようです。
大人は子どもの自主性や計画、実践、振り返りをサポートする役割を担います。何かを教えるのではなく「何をするの?」「どうやったの?」など、子ども自身に考えさせ、答えさせる質問を中心としたサポートをするようです。
子供達はこうした教育を通じて、自主的に学ぶようになり、IQではなく、がまん強さや粘り強さ、何より学習への積極性を身につけるよいうことのようです。
林先生のいう幼児教育の大切さとは
さて、ここまで見てきて、林先生のいう「英語はアプリ」「幼児教育はスペックをあげることが重要」という意味がわかってきました。
子供達に英語という「知識」を身につけさせるのではなく、自ら学ぶ、考えるというスペック(能力)を身につけさせることが重要だといっているのだと思います
幼児教育を通じて、自ら学ぶOSをインストールする、と言えるかもしれません。
そのために幼児期に自主性を高めるような教育をすることこそ大事。といっているのだと思います。
英語の早期教育が必要か?
林先生の話とは別に、英語の早期教育に警鐘をならす人物が他にもいます。
例えば、「その「英語」が子どもをダメにする (青春新書インテリジェンス)」
の著者で心理学博士の榎本博明さんがいます。
ダイヤモンドオンラインでも紹介されていますが、英語の早期教育により母国での思考力の育成がしっかりされない可能背があることを危惧しています。
また、昨今のAI技術の発達によって、急速に自動翻訳の技術も進化しています。
現代の魔術師の異名でも有名になった、大学教員&アーティスト&起業家である落合陽一氏は著書日本再興戦略 (NewsPicks Book) の中で、現在でもGoogle翻訳を使えばほとんどの文章は英語かできると述べています。
変換ができていないのは、そもそも元の日本語が不完全だったり、論理的に書かれていないせいであり、論文レベルの文章をしっかりかけるのであれば、ほぼ全てが自動翻訳できるとのこと。
いまですらそれくらいのレベルの自動翻訳技術があるのですから、いま幼い子供たちが大人になるころには、それこそ話しながらの同時自動通訳も現実となっている可能性があります。
そうすると、ますます「何語で話すか」は大して問題ではなくなり、「何を話すか」という中身が重要になってきます。
IQよりもEQを
先ほどの心理学博士の榎本博明氏はこれからの時代は「IQよりもEQ」が大事だと主張しています。
IQとはIntelligence Quotientすなわち、知能指数です。
対して、EQとはEmotional Intelligence Quotient、心の知能指数とでも呼ぶものです。
AIや人工知能の発達で、人間が単純なIQで機械に勝つことは最早不可能になっていきます。すでに将棋やチェスなどの世界では人類はコンピューターに勝てません。
しかし、AIは不確定なもの、定義しにくいものを扱うことは苦手です。
人間の感情という不確定で定義しにくいもの、それに対する感度を高めることがEQを高めることです。
前述の「非認知能力」もこのEQの能力と言えるでしょう。
もちろん高いIQを持つことに意味がないわけではありませんが、これからはIQとEQが高いレベルでバランスしている人物になっていくことが必要なのではないでしょうか。
幼児教育も単純に「勉強」だけではなく、「体験」や「経験」を通じて非認知能力、EQ能力を高めていくことが必要なのだと思います。
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