以前人生100年時代における育休の位置づけについて私見を書きました。
昨今人生100年時代はかなり一般的な認識になってきており、政府も「人生100年時代構想会議」を立ち上げるなど、行政にも影響をあたえ始めています。
自分の息子が100歳以上生きて22世紀を見ると思うと感慨深いものがあります。
そんな100年時代の職業キャリア、ライフキャリアはどういうものになるの書かれた記事がありました。
人生100年時代のキャリア観とは
記事ではキャリア観の進化を以下のように、キャリア観1.0からキャリア観4.0という4段階にわけて述べています。
キャリア観1.0:キャリアの成功は「出世」(高度成長期の70年代〜)
一つの会社で勤め上げて、課長、部長、役員、社長と職位を上っていくことが、職業キャリアの成功を意味していた。
キャリア観2.0:目指すキャリアは「プロフェッショナル」(バブル崩壊後の90年代〜)
高い専門性と職業倫理観を兼ね備えたプロフェッショナルは、1つの会社にとらわれず、会社の枠組みを超えるという点でキャリア観1.0とは異なるが、職業キャリアの高みを目指すという、登り型のキャリア志向という点は、キャリア観1.0と同じである。
キャリア観3.0:職業人と家庭人という2つの「ロール」への渇求(2010年代〜現代)
男性であれば職業人から家庭人へ、女性であれば家庭人から職業人へと、職業キャリアと家庭生活が一体化したライフキャリアの価値観。役割(ロール)が横に広がっているという点で、キャリア観3.0は、登り型のキャリア観1.0やキャリア観2.0とは全く異なっている
キャリア観4.0:私らしい「ライフ・ロール」の組み合わせ (これからの先の時代)
[職業人]と[親][子ども]などの家庭人のロールに限らず、[学生]や[余暇人][市民]といった、多彩なロールの組み合わせが当たり前である。しかも、ライフ・ロールの組み合わせは、ライフ・ステージごとに変わる。キャリア観が職業キャリアからライフキャリアに広がり、さらに自分らしいライフ・ロールの組み合わせを求めるようになる
キャリア観4.0の例として、米学者ドナルド・スーパーの提唱したライフキャリア・レインボーを紹介しています。

ライフキャリアレインボーとは図のように、複数の「役割(ロール)」が組み合わさって人生が設計されていくという考え方のようです。
このようにキャリア観の進化を紹介しています。
そして結びとして以下のように「現代は職業キャリアの成功」から「ライフキャリアの充実」にパラダイムが変わりつつある時代であるとしています。
「職業キャリアの成功」から「ライフキャリアの充実」にパラダイムが変わる転換点にいる。100年の人生で、私らしいライフキャリア・レインボーを実現できたら、それはきっと、とても豊かなものだろう。
と記事は結んでいます。
育休はキャリア観を進化させる起爆剤
冒頭の以前の書いた記事でも述べていますが、私はこの人生100年時代において、長期の「育休」をとることは大きな意味があると考えています。
キャリア観3.0、キャリア観4.0にあるように、これからの時代は「職業人」以外のロールも人生に組入れることで、より充実した人生をおくれるようになるはずです。
すでに現代を生きる子育て世代の「思想」はそのような世界観に近づいていると感じています。
しかし、現実には仕事に追われて「職業人」としてのロールに傾注する傾向にあります。
つまり多くの日本人男性はいまだにキャリア観1.0、キャリア観2.0の世界を生きることを強いられているのです。
しかしキャリア観1.0、キャリア観2.0の世界に、最近やっとキャリア観3.0の光を差し込んでいます。
それが「育休」です。
育休は「職業人」のロールから物理的にも精神的にも一度離れ、「親」というロール、「家庭人」というロールを担うことになります。
まさに複数のロールを人生に組み込む絶好の機会となるのです。
政府も後押しする中、企業も徐々に男性の育休取得に前向きな流れができつつあります。
まずはキャリア観1.0、2.0の世界から、3.0へと「育休」をきっかけに踏み出すことが必要だと感じます。
そして男性が育休をとるようになれば、女性は「母親」というロールだけではなく、「職業人」や「余暇」といったロールも人生に組み込めるようになるはずです。
そうなれば、男性も女性も、複数のロールを人生に組み込み、より人生を充実させることができるようになります。
それがキャリア観4.0の世界への進化ではないでしょうか。
日本社会のキャリア観を3.0、4.0へ進化させるのに、育休は大きな起爆剤になりえると筆者は考えます。
育休をとって、新しいOSをインストールしましょう。
日本人のキャリア観を進化させましょう。